


岡山県備前市、片上湾を臨む丘陵地に佇む真光寺(しんこうじ)。
室町建築の様式を今に伝える本堂と三重塔を詳しくご紹介します!
真光寺はこんなところ
寺伝によると、行基によって天平十一(739)年(739年)に創建されたと伝わり、後に報恩大師が開基した備前四十八ヶ寺の一つに加えられました。
南北朝時代と戦国時代にそれぞれ兵火を被り衰退したものの、その都度良宗法印や勢恵上人によって再興されます。当初、山号は小滝山と称していましたが、慶長七(1602)年に勢恵上人が仁和寺に招かれ、その際に仁和寺の別称である「御室」から一字を賜り、山号を御瀧山と改めました。
(現地案内板より)
報恩大師:孝謙天皇より篤い帰依を受け、安禅寺宝塔院(廃寺、奈良県吉野町)や子嶋寺(奈良県高取町)を開基した奈良時代の修行僧

備前市は岡山県の南東部に位置し、日本六古窯の一つに数えられる備前焼の産地として栄えました。真光寺が所在する片上地区には片上湾が入り込んでおり、海と山、そして町が調和した穏やかな景観を楽しむことができます。
現在は花蔵院と自性院という二ヶ院の塔頭によって管理されており、本堂にはご本尊の阿弥陀如来をお祀りします。
境内を散策する
力強く、スタイリッシュな本堂

真光寺は国道二号線沿いに位置し、お詣りしたことはなくとも三重塔を見たことがあるという方もいるのではないでしょうか。
二号線に架かる跨線橋からは境内を一望することができますので、お詣りの際はぜひ足を運んでみてください。

往時は多数の堂塔が立ち並んでいたであろう真光寺ですが、現在は本堂と三重塔、大師堂のみが残るコンパクトな境内となっています。

棟札の墨書より、本堂は承円によって永正十三(1516)年に建立されたことが明らかになっています。
昭和の解体修理の折に現在の本堂とは異なる柱割によって建てられた古材が使用されていることが確認されており、応永期の伽藍再興時に建立された三間の仏堂を現在の形へと改修したと考えられています。
(現地案内板より)
柱割:柱の間の間隔(柱間)の寸法を一定に保つための割り付け(基準)のこと

本堂は方五間、本瓦葺、入母屋造のお堂の前方に一間の向拝を附したシンプルでありながら、力強さを感じる作風です。一方で、細部の意匠は単調さを感じさせない工夫が凝らされています。

正面五間は禅宗様の特徴である桟唐戸とし、中備えとして向拝の虹梁上と中央間には繊細な蟇股、それ以外の柱間には蓑束をおきます。

側面は左から一間目を桟唐戸、二間目を舞良戸、三間目と四間目を蔀戸、五間目を横板壁と変化に富んだ造りです。

軒裏は地垂木と飛燕垂木がともに角形の二軒繁垂木とし、組物は出三斗、中備えは蓑束を基本としつつも、三間目のみ花肘木とすることで全体が引き締まった印象を与えます。
片上湾を見下ろす三重塔

三重塔は真光寺が再興された慶長年間(1596年~1615年)に現在の瀬戸内市牛窓の蓮華頂寺(廃寺)より移築されたと伝わり、このことは棟札の「慶長癸丑三月十五日」という墨書銘からも明らかです。
癸丑:干支の組み合わせの50番目にあたる年であり、西暦年を60で割って53が余る年が癸丑の年となります。つまり、慶長癸丑は慶長十八(1613)年を意味します。

建立時期はその建築様式から室町時代中期と見られ、形式は三間三重塔婆、高さは18.24mです。岡山県には重要文化財に指定された三重塔が六基現存しており、そのうち真光寺三重塔を含めた三基が室町時代の建立です。

初層は中央間を板戸、両脇を連子窓とし、擬宝珠高欄を附した廻り縁を配します。内部には来迎柱を立て、禅宗様の須弥壇上に蝋石で彫られた大日如来が安置されています。


軒裏は地垂木と飛燕垂木がともに角形の二軒繁垂木となっており、組物は尾垂木三手先、中備えとして中央間には月輪に梵字を刻んだ蟇股、両脇間には蓑束があしらわれています。
各層の隅木には風鐸が掛かり、ハート型のくりぬきは猪目と呼ばれます。


二層目と三層目は軒を低く作り、組物を尾垂木三手先、中備えを間斗束としますが、各間の間隔が狭まることでやや窮屈な印象です。

相輪の高さは約5.9mであり、水煙は矢の羽根のような形状をあらわします。
象の木鼻がユニークな仁王門

現在はJR赤穂線と国道二号線によって分断されていますが、境内から徒歩1分ほどのところに仁王門が現存します。往時はこの辺りまで境内であったと考えると、その隆盛ぶりが伺えます。

仁王門は本瓦葺、入母屋造、三間一戸の楼門であり、花蔵院の僧宥敞の発願により正徳元(1711)年に上棟しました。

江戸期の建築はユニークな装飾が特徴の一つですが、この仁王門は白い象の木鼻がチャーミング。
まとめ
片上湾を臨む風光明媚な地に伽藍を構え、室町建築の特徴をよくあらわす本堂と三重塔を有する真光寺。境内だけではなく、周辺の雰囲気ものどかで気持ちがよい場所であり、リフレッシュにも最適なお寺です。
最寄り駅である「西片上駅」からは徒歩5分ほどとアクセスは良好ですが、昼間時間帯は電車の本数が少ない(1時間に1本)点にご注意ください。お寺に駐車場はないため、お車でお詣りの場合は境内横の狭いスペースに駐車することになります。

基本情報
- 正式名称
御瀧山(おたきさん)真光寺 - 所在地
岡山県備前市西片上1509 - 宗派
高野山真言宗 - 指定文化財
重要文化財(本堂、三重塔)
市指定文化財(仁王門、花蔵院正門) - アクセス
JR赤穂線「西片上駅」より徒歩約5分 - 駐車場
境内に数台駐車可能/無料 - 拝観時間
境内自由 - 拝観料
無料 - 御朱印
可/自性院にて - 所要時間
約15分
参考
現地案内板