【高松城(香川県高松市)】① 国内有数の海城

香川県高松市 高松城 月見櫓
香川県高松市 高松城 艮櫓
香川県高松市 高松城 天守台
香川県高松市 高松城 鞘橋

香川県高松市、瀬戸内海を望む高松城。

二基の三重櫓や巨大な天守台を有する国内有数の海城を詳しくご紹介します!

高松城はこんなところ

高松城は天正期に生駒正親によって築城され、江戸時代には高松藩の藩庁として機能した四国有数のお城です。羽柴秀吉から讃岐国を与えられた生駒正親は当初引田城(香川県東かがわ市)へ入城しましたが、翌年には香東郡野原庄から高松へ地名を改めて高松城の築城を開始し、天正十八(1590)年に完成させました。その後、四代高俊のときに勃発した生駒騒動によって生駒氏は改易され、常陸下館より松平頼重が入って以降は松平氏が十一代続き幕末を迎えました。

本丸を中心に二の丸、三の丸、北の丸、東の丸、桜の馬場を時計回りに配した輪郭式平城であり、かつて城の北面は瀬戸内海に面していました。

縄張り図は以下の通りです(破線部は消滅)。

香川県高松市 高松城 縄張り図
出典:筆者作成

現在はたま公園として整備され、二基の三重櫓や天守台が往時の面影を伝えます。なお、「玉藻」とは柿本人麻呂が讃岐の国の枕詞として「玉藻よし」と詠んだことに由来し、別名玉藻城とも称します。

見どころ

水堀と石垣が織りなす美しい景観

幅が広い水堀と石垣、松の木が調和した景観は高松城の見どころの一つです。

香川県高松市 高松城 天守台
香川県高松市 高松城 鞘橋

とりわけ堀が深い翠色に染まる夕暮れどきの景観は美しく、筆者お気に入りの構図です。

香川県高松市 高松城 天守台
香川県高松市 高松城 天守台
香川県高松市 高松城

海水が引き込まれてた堀にはタイやチヌといった海水魚が泳ぎ、エサやり体験を楽しむことができます。

香川県高松市 高松城
香川県高松市 高松城

太鼓門と水手御門

城の正面口は太鼓門(現在の東入口)ですが、海に面した水手御門も太鼓門に勝るとも劣らない重要な門でした。

香川県高松市 高松城 太鼓門
香川県高松市 高松城 太鼓門

太鼓門は防御性に優れた桝形虎口となっており、桝形の正面には旭門が現存します。

香川県高松市 高松城 太鼓門

桝形虎口は各地のお城で見られる仕掛けですが、高松城のように内部にうずみもんが設けられた桝形はそう多くはありません。

香川県高松市 高松城 太鼓門

太鼓門周辺の石垣は丁寧に切り揃えた石材を隙間なく積み重ねた「きりこみはぎ」であり、城の玄関口にふさわしい仕立てです。

香川県高松市 高松城 水手御門

水手御門は月見櫓・渡櫓とともに海手側の玄関口を担い、藩主が船を使う際はここから小舟で海へ出て、沖で大きな舟に乗り換えたといいます

香川県高松市 高松城 水手御門

毎週日曜日の9:00~15:00には門が開扉されますので、ぜひ門をくぐって城外から門を眺めてみてください。

優美な月見櫓と実戦的な艮櫓

三重櫓は全国に十二基しか現存しておらず、月見櫓とうしとらやぐらは希少な現存例です。

香川県高松市 高松城 月見櫓

「月見」とは月を眺めることを意味するのではなく、藩主の帰着をこの櫓から眺め見ること(つき)に由来するそうです。

香川県高松市 高松城 月見櫓

城外から見えないため櫓の内側は簡略化されることも珍しくありませんが、月見櫓は内側にも破風や窓があしらわれた左右対称の構造となっています。

香川県高松市 高松城 月見櫓
香川県高松市 高松城

水出御門の開門と同じく毎週日曜日の9:00~15:00に内部が公開されていますので、内部構造を見学したり、上層から眺望を楽しむことができます。

香川県高松市 高松城 艮櫓

三方に大振りな石落としを設け、鉄砲狭間を隙間なく配した実戦的な艮櫓。

香川県高松市 高松城 艮櫓

現在は桜の馬場の南東隅に位置しますが、元々は東の丸の北東隅に立っていました。

香川県高松市 高松城 艮櫓台

こちらが艮櫓がかつて立っていた東の丸の艮櫓台です。

香川県高松市 高松城 東の丸

東の丸の大部分はレクザムホールと香川県立ミュージアムとなっていますが、石垣を完全に取り壊すことはせずに艮櫓台や石垣の一部が残されています。

77年ぶりに復元された桜御門

桜御門は高松空襲によって惜しくも焼失しましたが、発掘調査の開始から完成まで12年をかけて2022年6月に竣工しました。

香川県高松市 高松城 桜御門
香川県高松市 高松城 桜御門

筆者は高松城に何度も訪れていますが、桜御門の復元によってより魅力的なお城になったように思います。

香川県高松市 高松城 桜御門

土日祝日の9:00~16:00であれば内部の見学も可能です。

海城を堪能する

海城ならではの特徴が要所に見られ、桜御門の復元に留まらず天守閣の再建計画も進められるなど今後が大変楽しみな高松城。タイのエサやり体験や城舟体験ができ、4月初旬には夜桜を楽しむライトアップイベントも開催されるなど、お城への関心が薄い方やお子様連れのご家族でも楽しめるスポットです。

公共交通機関でお越しの方は多くの場合西入口から入園されるかと思いますが、東入口から入園されると城の縄張りをより楽しむことができますのでおすすめです!

艮櫓や桜御門について詳しく紹介している下記の記事もぜひご覧ください。

次の記事

本記事では高松城の艮櫓(うしとらやぐら)と桜御門、桜の馬場、三の丸について詳しくご紹介します!基本情報や見どころをまとめた前回の記事はこちら。[sitecard subtitle=前回の記事 url=/takam[…]

香川県高松市 高松港
高松港

基本情報

  • 別名
    玉藻(たまも)城
  • 所在地
    香川県高松市玉藻町2−1
  • 指定文化財
    国指定史跡
    重要文化財(月見櫓、水手御門、渡櫓、艮櫓、披雲閣)
  • 鉄道アクセス
    JR予讃線・高徳線「JR高松駅」・高松琴平電気鉄道「高松築港駅」から徒歩すぐ
  • 駐車場
    公園東入口前にあり/57台/無料
  • 入園時間
     西門開門時間東門開門時間
    4月~5月5:30~18:307:00~18:00
    6月~8月5:30~19:00
    9月5:30~18:30
    10月6:00~17:308:30~17:00
    11月6:30~17:00
    12月~1月7:00~17:00
    2月7:00~17:30
    3月6:30~18:00
  • 入園料
     普通団体(20人以上)
    大人(16歳以上)200円140円
    小人(6歳~15歳)100円70円
  • 櫓や門の公開時間など
    公開・体験時間備考

    月見櫓の内部公開
    水手御門の開門

    日曜日 9:00~15:00 
    桜御門の内部公開土日祝日 9:00~16:00 
    城舟体験3月1日~11月30日
    9:00~15:30の30分おきに運行
    (12:00~13:00を除く)
    大人(高校生以上)500円
    小人(5歳以上)300円
  • 日本100名城スタンプ設置場所
    西・東入口料金所(押印可能時間は各門の開門時間と同じ)
  • 御城印販売場所
    西・東入口料金所/披雲閣内管理事務所窓口(購入可能時間は各門の開門時間と同じ)
  • 所要時間
    約45分/じっくり見学する場合は約90分
  • トイレ
    二の丸・三の丸・桜の馬場にあり
  • 関連遺構
    報時鐘

 

参考
パンフレット
高松城【玉藻公園】公式ウェブサイト 最終アクセス2025年4月29日
高松市公式ホームページ 最終アクセス2025年4月29日