【明石城(兵庫県明石市)】 ① 二つの櫓が象徴的な西国抑えの城

兵庫県明石市、明石駅の目の前に位置する明石城。

市街地にもかかわらず、二つの櫓や主郭部の石垣をはじめとする遺構が良好に残ります。

明石城はこんなところ

明石城は、信濃松本から船上ふなげ城(現明石市新明町)に入城した小笠原忠政によって、元和五年(1619)に西国諸藩に対する備えとして築城が開始され16ヶ月ほどで完成しました。忠政の転封後四家六代と城主が目まぐるしく入れ替わった後に、10代にわたって越前松平氏が明石を治め廃藩置県を迎えます。
明石城公式ホームページより)

一見平城のようですが、台地の突端部を利用して主郭部(本丸・二の丸・東の丸・稲荷曲輪の総称)が築かれた連郭式平山城。主郭部の東側が台地と地続きになっているうえに、特に防御上の工夫も凝らされておらず縄張りの弱点となっています。現在は主郭部と三の丸・中堀の一部が城跡として整備され、二つの三重櫓が現存します。

縄張り図は以下の通りです(破線部は消滅)。

出典:正保絵図を参考に筆者作成

現在は明石公園として整備され市民の憩いの場となっていますが、主郭部は人が少ないためゆっくりと見学できます。しかし、樹木が多く夏場は葉が鬱蒼と生い茂るため少し見学しにくいかもしれません。

見どころ

三つの桝形虎口

三の丸には東・南・西の三方向に枡形虎口が設けられており、そのうち南の太鼓門が大手口にあたります。同じ桝形虎口であっても、それぞれ構造が少しずつ異なるためぜひ比較してみてください。

なかでも西不明門桝形は、その構造を上から立体的に把握することができるためおすすめのポイントです!

太鼓門枡形
東不明門ひがしあけずもん桝形
西不明門にしあけずもん枡形

三の丸と枡形虎口については以下のページで詳しく紹介しています!

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アイコニックな巽櫓と

明石城には巽櫓とひつじさる櫓という二基の三重櫓が現存しています!現存する三重櫓は大変稀少であり、三重櫓を二基以上有するお城は明石城に加えて高松城と弘前城だけです。

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坤櫓(左)と巽櫓(右)

巽櫓は船上城より、坤櫓は伏見城よりそれぞれ移築されたと伝わります。元々は違うお城の櫓であったため坤櫓の方が一回り大きく、両櫓の向きが異なるなど要所に違いが見られる点が大変ユニークです。日時によっては両櫓の内部を無料で見学できるため、詳しくは明石観光協会のHPをご参照ください。

巽櫓(重要文化財)
坤櫓(重要文化財)

巽櫓と坤櫓については以下のページで詳しく紹介しています!

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圧巻!主郭石垣と大堀切

総石垣造りの主郭部は、「本丸」・「二の丸」・「東の丸」・「稲荷曲輪」という四つの曲輪で構成されており、東の丸から稲荷曲輪まで東西約400mにも及ぶ石垣は圧巻です!

JR明石駅ホームより

本丸と二の丸の間には巨大な堀切が設けられており、両曲輪は土橋で結ばれています。こうした構造は近世城郭としては珍しいものです。

大堀切(南側)
大堀切(北側)
土橋

主郭部については以下のページで詳しく紹介しています!

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巨大な天主台

東西25m・南北20mにも及ぶ巨大な天守台ですが、実際に天守が建造されることはありませんでした。隅部は切り揃えられた石材を積み重ねて組まれており、美しい反りが見られます。

天守台については以下のページで詳しく紹介しています!

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石垣と現存櫓は一見の価値あり

長大な石垣の上に立つ二基の現存櫓が大変カッコよく、ほかにも桝形虎口や天主台などの見どころが多い明石城。電車から見たことがあるという方も、一度下車してお城を歩いてみてください。

近年木々の伐採が進んでおり(特に南側の)石垣が見やすくなっていますが、依然として主郭内部は樹木が多く、夏場は葉が鬱蒼と茂ります。石垣を含めた主郭部をじっくり確認したい方は、落葉期の晩秋~初春に訪れることをおすすめします。

次の記事では、三の丸について詳しく紹介します。

次の記事

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基本情報

  • 別名
    喜春城、錦江城
  • 所在地
    兵庫県明石市明石公園1−27
  • 指定文化財
    国指定史跡
    国重要文化財(巽櫓、坤櫓)
  • 鉄道アクセス
    JR神戸線「明石駅」・山陽本線「山陽明石駅」から徒歩すぐ
  • 駐車場
     台数料金
    協会(南)駐車場366台1時間ごとに200円
    県営(北)駐車場134台30分無料、5時間まで500円
  • 入城時間
    公園内は散策自由
    両櫓の公開日時については、明石観光協会のHPをご参照ください
  • 日本百名城スタンプ設置場所・御城印販売場所
    公園管理事務所(押印可能時間:8:45~17:00(年末年始を除く))
    設置場所・販売場所押印・購入可能時間
    公園管理事務所8:45~17:00(年末年始を除く)
  • 所要時間
    主郭部を一通り見学する場合は約1時間/隅々まで見学する場合は約2時間
  • 関連遺構
    織田家長屋門