


福井県高浜町、若狭湾にほど近い白石山の南麓に位置する馬居寺(まごじ)。
2026年10月17日・18日には二十四年に一度の本開帳が実施されました。
馬居寺はこんなところ
延宝三(1675)年に記された『若州管内社寺由緒記』よると、聖徳太子によって推古天皇二十七(619)年に創建されたと伝わります。
太子が愛馬甲斐の黒駒にまたがり、摂政の役目を帯びて諸国を巡った折、和田浜で休憩をとりました。ところが、愛馬の姿が見えなくなったため捜索していると、南の山から馬のいななきが聞こえ、光明が輝きました。そこで、太子は「此処ぞ観音の霊地である」と考え、その光明輝く山を本光山と称し、堂塔を建立しました。その後、仏師が栴檀の香木で馬頭観世音菩薩坐像を刻み、安置しました。
馬居寺という寺号は、その山号の通り馬頭観音がいるお寺ということに由来します。
(お寺発行の栞より)

福井県高浜町と京都府舞鶴市の境目に聳える青葉山。馬居寺はその東方に広がる白石山の南麓に位置します。馬居寺のご本尊は馬頭観音ですが、青葉山の東側と西側にそれぞれ位置する中山寺と松尾寺も同様に馬頭観音をご本尊とし、この地域では馬頭観音が特別視されていたことが窺えます。
三軀の馬頭観音はすべて秘仏で、馬居寺は24年ごと(12年に1度中開帳あり/次回開帳予定は2038年)・中山寺は33年ごと(17年に1度中開帳あり/次回開帳予定は2027年)・松尾寺はなんと77年ごと(前回開帳は2008年10月1日~2009年10月23日)の開帳となっています。
2026年10月17日・18日に24年ぶりの本開帳が実施されましたので、当時の記録を交えながら、馬居寺を詳しくご紹介します。
境内を散策する
穏やかな秋晴れの日の御開帳

立派な佇まいの仁王門には湛慶作とも伝わる金剛力士像が安置されていますが、風雪をしのぐために透明な板で囲われているため、少々見づらくなっています。


観音堂へ向かう参道の途中にある熊野神社は、かつて馬居寺の鎮守でした。

本殿は覆家に覆われ、御祭神は伊邪那美尊・速玉男尊・事解男尊・宇津志國玉尊です。

本殿横には、赤い鳥居が目を引く稲荷神社が鎮座します。
桧皮葺の屋根が美しい本堂

観音堂は天明六(1786)年に建立され、収蔵庫完成以前は堂内の厨子に馬頭観音がお祀りされていました。

観音堂は方三間、宝形造のお堂であり、正面三間を桟唐戸、両側面は前方から一・二間目を引き戸、三間目を板壁とします。

- 馬頭観音坐像
木造(檜)彩色、割矧造、像高100.3cm、平安時代後期、重要文化財
馬頭観音としては珍しい平安時代後期の作であり、造立時期の違いから中山寺の馬頭観音(鎌倉時代中期)とは大きく異なる像容を表します。
三面八臂の馬頭観音は、右ひざを立て、左足裏を見せる輪王坐に近い(輪王坐は両足の裏を合わせるため正確には異なります)座り方をします。手には宝剣・斧・法輪・水瓶を持ち、人差し指と薬指を折って両手を合わせる馬口印を胸の前で結びます。焔髪が印象的な頭上に馬を戴き、比較的穏やかな忿怒相とやや硬直的な彫法を特徴とします。
昭和期の修理によって江戸時代に施された厚い彩色が除去され、指先と持物、裳先は後補ではあるものの、光背や台座蓮弁の一部にも当初のものが残るなど状態のよさも特筆すべき点ではないでしょうか。
堂内はやや暗いため最初はよく見えなかったのですが、次第に目が慣れ、長らく御開帳を待ち望んだそのお姿を目に焼き付けることができました。

観音堂右横の斜面には、数基の五輪塔と数百体にも及ぶ石仏群が静かに佇んでいます。造立年代は鎌倉時代から江戸時代までさまざまで、馬頭観音とともにお寺の変遷を見守ってきたのでしょう。
まとめ
当地域でも最古級の馬頭観音がお祀りされ、ユニークな縁起が伝わる馬居寺。馬頭観音を次回拝することができるのは中開帳の2038年となりますが、2027年には中山寺の馬頭観音が御開帳される予定です。
最寄り駅の「若狭和田駅」からは徒歩15分ほどですが、小浜線は電車の本数が少ないため、事前に時刻表を確認したうえでお詣りされることをおすすめします。お寺周辺の道は狭く、場所によっては離合が難しいためお車でお詣りの方は充分ご注意ください。
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基本情報
- 正式名称
本光山馬居寺 - 所在地
福井県大飯郡高浜町馬居寺3-1 - 宗派
高野山真言宗 - 指定文化財
重要文化財(木造馬頭観音坐像)
町指定文化財(観音堂、木造弁財天坐像) - アクセス
JR小浜線「若狭和田駅」から徒歩約15分 - 駐車場
境内前にあり/約5台/無料 - 拝観時間
境内自由 - 拝観料
境内自由(秘仏公開時は500円) - 御朱印
可/納経所にて - 所要時間
約15分

参考
お寺発行のパンフレット
中山寺ホームページ 最終アクセス2025年12月06日
